私の考える理想的な地方自治体について

この記事は,私にとって理想的だと思う地方自治体のあり方について個人的に考察したものです.
1〜2年前に書いたものなのでかなり読みにくいかもしれませんが,参考になるようでしたら幸いです.注意点としては,①この記事は1〜2年前に書かれている内容であること,②私個人の意見が多分に含まれていること,この2点をご了承下さい.文字数は6,000字以上あります.また読点が多めです.
誤字脱字を発見された方は連絡していただければ助かります.

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※画像はPixabayより.



 まずは地方自治とは何なのかということについて具体的に説明し,そして私が考える理想の地方自治体の考えを述べる.途中でアメリカ合衆国における地方自治の問題についても少し述べていく.またドイツの地方自治についても触れる.
 地方自治とは,国の中に存在する地域・地方の運営を地方の住民の意思に基づき行うことをいう.地方住民の意思に基づいて施政を行おうとすることがいわゆる地方自治である.
 国は公正で普遍的な統治構造を維持するために,国家全体の運営について画一的でさらに均一的な運営を行うことが要請されるが,地方の実情や地方における住民からの要望は各地方によって様々であることから,これを国がすべて同一に運営することは確実に不可能であるといえる.地方の運営にあたっては地方の独自性を考慮する必要がある.そこで現在,様々な国家では,国と地方とで,地方の総合的な運営は地方に委ね,国は国家にかかる根本的な事柄を担当し、かつ国家全体の総合的な調整を図るという役割分担がなされている.
 地方自治とは国による統治に対する側面という意味合いがあり,住民自治と団体自治という二つの概念を持つ.住民自治とは,地方自治はその地域社会の住民の意思によって行われるべきであるという概念に基づいた自治のことである.名前の通り「住民が直接地域自治に参加できる社会」を目指す.具体的には地方公共団体の長や議院を直接選挙したり,その地方公共団体だけに特別に適用される法を制定する住民投票をしたりといった権利が住民に保障される.住民自治の良い点は,住民投票などを通して住民が政治に参加しやすい機会を多く設けている点である.団体自治とは,地方自治は国(中央政府)から独立した地域社会自らの団体(組織・機関)によって行われるべきという概念に基づいた自治のことである.国から指示を受けずに行政を行なったり条例を定めたりすることができる権能が,国から独立した地域社会自らの団体に保障される.
 ちなみにこの二つの目的を達成するために日本国憲法とほぼ同時につくられたのが地方自治法だ.日本の地方自治は地方自治法を中心に行われている.ちなみに後述するが日本国憲法第92条にある「法律」とは地方自治法のことを意味する.そんな地方自治の本旨のうち,特に住民自治を実現するために,地方自治法では住民に直接請求権というものを認めている.直接請求権とは名の通り住民が政治に関することを直接に請求することができる制度で,大きく分けて,住民が政治に関することを提案する「イニシアチブ(住民提案)」と,地方公共団体で重要な仕事にあたっている人を辞めさせることができる「リコール(住民解職)」に分けることができる.
 地方自治において行政権にあたるのが首長である.日本においては,首長はそれぞれ各都道府県と市町村,さらに東京の23の区に存在する.国の政治では,国民は行政権の長である内閣総理大臣を選挙で選ぶことはできないが,地方の首長はそれぞれ住民による選挙で選ばれる.さらに首長は地方議会が制定した条例や予算に対する拒否権を持つなど,地方においては大きな力を持っている.このあたりについては,まさにアメリカの大統領制をモデルに日本の地方自治の制度がつくられている背景がある.ちなみに首長は地方議会に対して解散権を持っているが,国の政治において内閣総理大臣が好きなときに衆議院を解散できるのに対して首長が地方議会を解散できるのは地方議会が首長の不信任決議をしてきた時のみに限られている.地方公共団体ではこの首長をリーダーとして,地方公共団体で作られた条例・予算に基づいて政治を行っていくことになっているのだが,地方公共団体の仕事には地方独自に行う仕事の他,国から依頼されて行う仕事も含まれる.
 2000年までは,地方公共団体が行う仕事には,具体的に固有事務と団体委任事務と機関委任事務の3種類があった.固有事務とは地方が自主的に計画して行う仕事,団体委任事務とは国が地方に依頼することより地方議会で話し合って行う仕事,機関委任事務とは国が地方公共団体の中の首長や行政委員会(教育委員会や選挙管理委員会など)に直接依頼して地方議会の審議を通さずに各機関が行う仕事,をそれぞれ意味する.ところが当時ではなんと地方自治の事務全体に占める機関委任事務の割合が約80%だったため,地方自治は国で決められたことにただ従うだけに過ぎず,地方独自の政治はほとんど行われていないに等しい状態だった.言い換えれば地方はただ国の命令に従うだけだったということだ.そこでまず1995年には地方分権推進法という,地方公共団体の自主性・自立性を高めてさらに個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することを目的とした法律が制定され,機関委任事務が段階的に減らされていった後,2000年には地方分権一括法が制定され,この機関委任事務は完全に廃止されることになった.その結果,地方公共団体が行う仕事は固有事務と新たに加わった法定受託事務の2つに分類されることとなった.法定受託事務とは法律に基づき国が地方に依頼した仕事のことであるが,この法定受託事務では手続きを含めれば国が依頼してきた仕事を拒否することが可能である.
 まず地方自治活性化の理想は自治事務が増えていくことだ.機関委任事務の代わりに法定受託事務ができたが,機関委任事務は国からほぼ強制的に委任されていた仕事であったのに対し,法定受託事務は国から託された仕事に過ぎないので,強制力はない.つまり,もし国から託された法定受託事務に不満があれば,内閣府に設置されている国地方係争処理委員に訴えて拒否することもできるようになった.
 地方自治ではたくさんの行政委員会が活躍している.行政委員会は中立を保つために行政権(地方の場合は首長)から独立して仕事を行う機関である.地方公共団体には,例えば学校の設置や運営に関する仕事を受け持つ教育委員会,国会議員選挙や地方選挙に関する仕事を受け持つ選挙管理委員会,地方警察のトップ機関である考案委員会,地方公共団体の税金がきちんと使われているかチェックし監視する機関である監査委員,といったように様々な行政委員会が設置されている.この中でも特に重要なのは監査委員だ.監査委員が首長や地方議会の議員,地方公共団体で働く公務員の人たちと仲の良い関係になってしまうと厳しいチェックが行えなくなってしまうことが予想されるので,当然ながら地方自治から独立して仕事を行うことになっている.
 日本国憲法第8章では日本の地方自治について定めている.憲法第92条では「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。」こととしており,地方自治の原則を示している.ちなみにここでいう地方自治の本旨とは,法律をもってしても侵害できない地方自治の核心部分を指すとされていて,具体的には先ほど述べた住民自治及び団体自治を指すとされている.明治憲法では地方自治に関する規定が無かった.だが現在の日本国憲法では,憲法上の制度として地方自治を厚く保障している.
 ところで,アメリカの地方自治はどうなのか.日本と比較して,アメリカの地方自治で日本と最も異なる点は,地方自治体というものは国から与えられたものまたは国の出先機関として存在するのではなく,住民自らの意思により創出されたものであるということである.一定地域での人口集中があり,州や郡(州の出先機関)が提供する以上の公共サービスが必要になったとき,住民自らの要求があってはじめて州議会を経て自治体が設立(法人化)されるのである.したがってアメリカには自治体のない地域(非法人化地域)も相当あり,アメリカ国民の2割はどこの自治体にも属していなかったりする.「法人化」されてはじめて設立される自治体は,反対に廃止することも可能である.
 自治体を設立するには,「自治憲章」を制定し,州政府がこれを承認し,「法人格」が与えられなければならない.自治憲章とは,日本でいう地方自治法に相当するような,自治体の権限や職制を規定した自治体の基本法であり,各自治体が自ら有している.これは行政形態や公務員の名称・資格および選出方法,財政,行政サービスの内容,各部局の編成などに関する規定が盛り込まれた行政運営の基礎である.
 アメリカの自治体には,「地域のことは,地域において決定し,実行する」といった「ホーム・ルール」と呼ばれる思想がある.すなわち自治憲章の制定に際しては,州政府の規定した一般的な範囲内であれば,住民が自由に規定できる.具体的な個別の政策に関しても州政府が禁止していない範囲内で裁量が認められるべきであるという考え方をするのがこの思想なのである.
 以上のように,アメリカの地方自治体はまさに「地方の住民が自ら治める団体」なのであって,日本の地方公共団体とは歴史的にも性質が異なるのである.日本の場合,外国に比べて地方自治が盛んではない.日本の政治は,結局は東京で行われている国の政治が中心であり,その結果どの都道府県,どの市町村でも同じようなサービスを受けることが出来るという利点がある反面,それぞれの地域で本当に必要とされている細かい住民の要望を政治に生かすことができているかといえばそうではない.この原因は明治憲法下の政策に由来する.明治憲法の下では地方自治は認められておらず,現在もそうだが当時の日本の政治は東京で行われている国の政治が中心で,都道府県知事も国から派遣され,国民は都道府県知事を選挙で選ぶこともできなかった.そしてなんとそんな中央集権的な政治が,実は地方自治が認められていたはずの現在の日本国憲法の下でもなぜか続いている.
 さて,アメリカ合衆国における地方自治の問題について考えてみたのだが,私が思った問題はやはりアメリカには自治体のない非法人化地域が相当あることだと思う.なぜなら自治体のない地域にいるアメリカ国民が州や郡(州の出先機関)の提供する以上の公共サービスが必要になったときに,アメリカの地方自治の体質上,彼らはそのサービスを受けることができないからだ.住民自らの要求があってはじめて州議会を経て自治体が設立(法人化)されるというのは確かに良いことだと思うが,要求があったとしてもその住民の数が少ない場合や規模がとても小さい場合などを考えると,どこでも必ず自治体が設立されるとは考えられない.先に述べたが現に2割の国民がどこの自治体にも属していないのだ.なので,私は住民自らの要求がない地域についても日本と同様に自治体を設立するべきだと考える.
 過去に私はアメリカに留学していたことあったが,そのときお世話になっていたドイツ系アメリカ人のホストファザーにドイツの地方自治について聞いたことがある.以下にそのとき聞いた話を簡単に纏めてみる.
 まずドイツ(ドイツ連邦共和国)とは16の州から構成される連邦国家である.
 各州は単に法人格を持つ地方公共団体ではなく,それぞれが主権を持ち,独自の州憲法や州議会,州政府および州裁判所を有している.言い換えれば州こそがドイツの地方自治の要なのである.州政府の行政組織は,財務省や内務省,法務省,その他含め合計で10数省が存在し,各省の監督下に県が,その下に郡が,そしてその下に郡から独立した独立市,さらに郡の下に市町村がある.首都ベルリンや国際港湾都市ハンブルクは各々単独で州としての行政権限が認められている.ちなみに日本の地方自治法に相当する統一された地方制度に関する法律はドイツにはない.歴史的に見れば,ドイツは19世紀後半になって統一国家が成立したため,それまで各地方に中心地として発達してきた都市が中心となり,州の自治権が強くなっている.さらにナチスドイツの中央集権的支配体制に対する深い反省もあり,自治権の分散の色彩が強くなっていると考えることができそうだ.ちなみにドイツはサッカーが強い.2014年のワールドカップブラジルでは見事に優勝した.と,話が少しだけそれてしまった.
 ホストファザーにドイツの地方自治についてどのような考え方をしているか意見を聞いたのだが,それについては特に意見は無いと言われた.代わりにドイツ全体の自治としての良い点について話してくれたので,それについて少しまとめておく.第一にドイツ全体の自治の良いところは,国全体が,言い換えればドイツ中の全地方が,戦争に対して反対の姿勢を取っている点だ.理由は第二次世界大戦での経験があったからである.これについては今のところ日本も同様に同じ姿勢を取っている.例えば戦争に関連しそうな法案などを出さないようにするなど,戦争は絶対にしてはいけないという事を,自治の段階でも意識しているのが素晴らしい点であると話してくれた.また余談ではあるが,他にドイツでは,これも日本と同じで,食品に化学製品をあまり入れないようにするという姿勢をどの地方も取っているそうだ.人によって考え方は様々ではあるという事を踏まえて考えても,戦争をしないという事,食べ物に化学製品をなるべく入れないようにするという事,これらは人類にとって害になるかならないか考えると,決して害になるなんてことはないはずだ.ドイツの自治には先に述べた二つの例のように,少なくとも今のところ全体的には良い方向に自治ができているという良い点がある.
 最後に私が考える理想の地方自治体の組織と考えを簡潔に述べる.日本もアメリカもドイツも,それぞれの地方自治でそれぞれの良さもあれば悪い点もある.私の理想は短くまとめると,実現するのはとても困難もしくは不可能だと思われるだろうが,日本とアメリカとドイツに限らず全世界の国々の地方自治での「良いところ」をすべて組み合わせた地方自治の実現だ.いかにも誰でもみんな言いそうな理想だが,この理想がやはりベストだと考える.確かに世界の国々の全地域で全く同じ完璧な地方自治を行うのは前述の通り不可能であるが,例えばある地域が他の地域の地方自治で良い点を真似るといったように,自分たちの地方自治を完全に変えなくとも他の良い点を取りこむことは可能ではないのか.全く同じでなくてよいのだ.そして完璧である必要もない.他の良い点を組み合わせることが大切なのだ.それぞれの地域または国には,他とは異なる文化,異なる歴史,異なる教育制度をもつ.同時に地方自治については悪い点もあれば良い点も必ずある.とにかく何を述べたいのかといえば,全世界の国々の地方自治での「良いところ」をすべて組み合わせた地方自治の実現こそが,私の考える理想の地方自治ということだ.実現するのはとても困難もしくは不可能だと思われるだろうが,これは決して不可能なことではない.
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2017年12月1日(金)
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